仕事から帰るのは、だいたい20時から21時ごろです。
着替えをして、メイクを落として、洗濯を回して、食事の準備をして、少し勉強をし、家事をすることもあります。
そのあと、ふっと、いつも同じ気持ちになります。
「ああ、やっと自分の時間だな」と。
その感情に包まれたまま、食事をしながらNetflixをつけます。
好きな作品の画面を眺めながら、スマホを見たり、気になったことを調べたり。
何か一つに集中しているわけではないけれど、この「ながら」の時間が、とても好きです。
私は、寝具の仕事をしています。
良い寝具がどれだけ大切かも、どんな素材が眠りに影響するのかも、体感としてよく知っています。
自宅のベッドは、正直に言って、かなり整っています。
それでも、ベッドに向かうのは、いつも遅くなります。
眠れないわけではありません。
仕事が忙しすぎて眠れない、ということでもありません。
ベッドに入れば、すぐに眠れます。
ただ、ベッドに入ると、「一日が終わってしまう」気がするのです。
この、自分のための時間が終わってしまう。その感覚が、どうしても名残惜しくて、夜を引き延ばしてしまいます。
気がつくと、リビングで寝落ちしていて、時計を見ると3時や4時。
「今日は睡眠時間、短いな」と思いながら、静かにベッドへ向かいます。
ベッドに入って、自分のお気に入りのシーツに触れた瞬間、毎回、同じ気持ちになります。
ああ、やっぱりいいな、と。
自分好みの枕。
肌にやさしく触れるシーツ。
体をそっと受け止めてくれるマットレス。
短い時間でも、このベッドに包まれると、
「ちゃんと休めた」と思える感覚があります。
正直に言えば、眠れる時間は短い日もあります。
それでも、良い寝具に包まれて眠るその時間は、不思議と満足感があります。
6時に起床。朝、目が覚めたときも、「気持ちよかったな」と思える感覚が残ります。
出張先のビジネスホテルで、枕が合わなかったり、寝具がどこかしっくりこなかったりすると、同じ睡眠時間でも、残るのは疲れだけです。
だからこそ、短い眠りであっても、自分に合った寝具があることが、どれほど助けになるかを、私は身をもって感じています。
私は、夜の時間そのものを否定したいとは思っていません。
一日の終わりに、やっと戻ってこられる自分のための時間は、これからも大切にしていきたいと思っています。
ただ、同時に、自分の時間も、眠りの時間も、どちらも大切にできるバランスを、少しずつ見つけていきたい。
そんな気持ちも、今は確かにあります。
だから、こんな日があっても、
せめて眠りの時間だけは、心地よいものであってほしい。
そんな思いで、今日も寝具に向き合っています。
わかっているのに、ベッドに向かえない夜があること。
それでも、その夜の時間を大切にしたいと思っていること。
もし、どこかで「少し分かる」と感じてくださる方がいたなら、それだけで、この文章を書いた意味はあるのかもしれません。
シーツjp
田中宣子